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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)2864号 判決

本店所在地

東京都新宿区百人町二丁目九番二号

株式会社中央情報センター

右代表者代表取締役

佐藤忠安

本籍

東京都杉並区高円寺北四丁目三二番

住居

東京都新宿区下落合一丁目五番一〇号

三越高田馬場マンシヨン一一〇六号室

会社役員

佐藤忠安

昭和一七年九月二〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官五十嵐紀男出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社中央情報センターを罰金二二〇〇万円に、被告人佐藤忠安を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人佐藤忠安に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社中央情報センター(以下「被告会社」という。)は、肩書地に本店を置き、競馬に関する情報産業及び書籍の出版業務等を目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤忠安(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五〇年一月三〇日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六三七七万三四九六円あつた(別紙(一)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五一年二月二七日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在の所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二五一万三六七三円の欠損でこれに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五四年押第二七一号の符号一)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額二四六六万九二〇〇円(税額の算定は別紙(四)の一計算書参照)を免れ、

第二  昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一二三一万三二九九円あつた(別紙(二)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五二年二月三日、前記淀橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六〇万七一〇〇円でこれに対する法人税額が一六万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号三)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四四〇八万五二〇〇円(税額の算定は別紙(四)の二計算書参照)と右申告税額との差額四三九一万五三〇〇円を免れ、

第三  昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四九二一万一四四〇円あつた(別紙(三)の修正貸借対照表参照)のにかかわらず、同五三年二月二八日、前記淀橋税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七七万二四八六円の欠損でこれに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同号の符号四)を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八八四万四四〇〇円(税額の算定は別紙(四)の三計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

第一判示冒頭事実を含む判示事実全般につき

一  被告人の当公判廷における供述及び検察官に対する供述調書三通(乙1ないし3)

一  登記官作成の登記簿謄本(甲一1)

第二  別紙(一)ないし(三)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「当期増減金額」欄記載の数額のうち、

(イ)  現金((一)〈1〉)につき、

一 大蔵事務官作成の現金調査書(甲一2)

(ロ)  当座預金((三)〈2〉)につき、

一 大蔵事務官作成の当座預金残高調査書(甲一3)

(ハ)  普通預金(各〈3〉)につき、

一 大蔵事務官作成の普通預金(残高、利息)調査書(甲一4)

(ニ)  定期預金(各〈4〉)につき、

一 大蔵事務官作成の定期預金(残高、利息)調査書(甲一5)

(ホ)  定期積金(各〈5〉)につき、

一 大蔵事務官作成の定期積金(残高、利息)調査書(甲一6)

(ヘ)  定額郵便貯金((二)(三)〈6〉)につき、

一 大蔵事務官作成の定額郵便貯金(残高、利息)調査書(甲一7)

(ト)  過払源泉税((二)(三)〈7〉)につき、

一 大蔵事務官作成の過払源泉税調査書(甲一8)

(チ)  未収利息((二)(三)〈9〉)につき、

一 大蔵事務官作成の未収利息調査書(甲一9)

(リ)  受取手形((三)〈10〉)につき、

一 大蔵事務官作成の受取手形調査書(甲一10)

(ヌ)  子会社貸付金((二)〈10〉、(三)〈11〉)につき、

一 大蔵事務官作成の子会社貸付金調査書(甲一11)

(ル)  貸付金((一)〈7〉、(二)〈11〉、(三)〈12〉)につき、

一 大蔵事務官作成の貸付金調査書(甲一12)

(ヲ)  貸付信託((二)〈12〉、(三)〈13〉)につき、

一 大蔵事務官作成の貸付信託(残高、利息、租税公課、未収金、未払金、仮払金)調査書(甲一13)

(ワ)  割引債券((二)〈13〉、(三)〈14〉)につき、

一 大蔵事務官作成の割引債券(買上高残高、償還差益)調査書(甲一14)

(カ)  たな卸商品((一)〈8〉、(二)〈14〉、(三)〈15〉)につき、

一 大蔵事務官作成のたな卸商品調査書(甲一15)

(ヨ)  貯蔵品((一)〈9〉)につき、

一 大蔵事務官作成の貯蔵品調査書(甲一16)

(タ)  子会社株式((二)〈19〉)につき、

一 大蔵事務官作成の子会社株式調査書(甲一17)

(レ)  ゴルフ会員権((三)〈22〉)につき、

一 大蔵事務官作成のゴルフ会員権調査書(甲一18)

(ソ)  社長借入金((一)〈16〉、(二)〈22〉、(三)〈26〉)につき、

一 大蔵事務官作成の社長勘定調査書(甲一19)

一 検察事務官作成の捜査報告書(甲一20)

(ツ)  交際費損金不算入額((一)〈19〉、(二)〈34〉)につき、

一 大蔵事務官作成の交際費損金不算入額調査書(甲一21)

(ネ)  未納事業税((二)〈33〉、(三)〈30〉)につき、

一 大蔵事務官作成の事業税調査書(甲一22)

(ナ)  前期利益修正当期認容((二)〈30〉)につき、

一 大蔵事務官作成の「けん疑会社の50年12月期の修正申告について」と題する書面(甲一23)

第三  別紙(一)ないし(三)の各修正貸借対照表掲記の各勘定科目別「公表金額」欄記載の数額及び過少申告の事実につき、

一  被告会社の50/12期ないし52/12期各法人税確定申告書各一綴及び50/12期法人税修正申告書一綴(昭和五四年押第二七一号の符号一ないし四)

(法令の適用)

法律に照すと、判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法第一五九条第一項(被告会社については、さらに同法第一六四条第一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法第一五九条第二項を適用し、被告人については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法第四八条第二項により合算した金額の範囲内において罰金二二〇〇万円に、被告人については同法第四七条本文、第一〇条により犯情最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において懲役一年六月にそれぞれ処し、被告人に対し同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 半谷恭一)

別紙(一)

修正貸借対照表

株式会社中央情報センター

昭和50年12月31日

No.

〈省略〉

別紙(二)

修正貸借対照表

株式会社中央情報センター

昭和51年12月31日

No.

〈省略〉

別紙(三)

修正貸借対照表

株式会社中央情報センター

昭和52年12月31日

No.

〈省略〉

別紙(四)

税額計算書

株式会社中央情報センター

(事業年度昭和50年1月30日~昭和50年12月31日)

〈省略〉

(事業年度昭和51年1月1日~昭和51年12月31日)

〈省略〉

(事業年度昭和52年1月1日~昭和52年12月31日)

〈省略〉

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